Profile
プロフィール
1932年に生まれた三原巌は、聴覚障害があったために目で見たものを記憶することが得意だったという。大阪にて育ち、そこでの空襲の体験は三原の心に強く残ったようだ。成人後は製本の仕事に従事し、ろう者のための社会運動にも精を出した。若い頃から絵に親しみ、ろうあ協会の会報誌に絵と詩を掲載していたという。2001年前後、会社を退職後に自身の記憶をもとにした絵の制作を始めた。色鉛筆にて細部まで細かく描き込まれた絵に手書きの説明文が書かれた紙が添えられている。第二次世界大戦中の描写が多くあり、まだ平和だった開戦初期の日常生活を描いたものもあれば、大阪大空襲の実体験を生々しく伝えるものもある。描くだけではなくこれらの絵を持って様々な場所に赴き、体験を語り継ぐ活動を行なっていた。講演に呼ばれた際はテーマがそうであったためか、話すのはほとんどが戦争にまつわる話だったようだが、残されている絵は戦後の人生を描いたものも多い。仕事のこと、住まいのこと、趣味や旅行などについて生き生きと描いている。趣味としてカメラ、特にSLの撮影には凝っていたようで、しばしば得意げにカメラを構える自分自身の姿を描いている。2歳頃の天井に吊り下げられていた飾りの記憶から始まり、平成に入ってからの自身の暮らすニュータウンの風景で終わっている三原の一連の作品は、戦時中の実体験の貴重な記録としてだけではなく、昭和初期に生まれ、時代を生きた一人のろう者のライフヒストリーとしても興味深い。
Exhibitions
出展歴
- 2021
- 6月26日-7月4日 「ハレの日第4歩 〜アトリエにしまち通りと仲間達〜」ギャラリーきりん舎(京都府綾部市)
- 8月1日-8月31日 「三原巌原画展2021」ホテルビナリオ嵯峨嵐山ギャラリー
- 2022
- 共生の芸術祭「わたしはメモリー」京都市美術館別館
- 2023
- 共生の芸術祭「わたしはメモリー」巡回展 市民交流プラザふくちやま
- (2023年4月時点)