Profile
プロフィール
木村全彦の絵は、遠目には色の斑点の集合によって描かれているように見えるが、近寄ってみるとその一つ一つが、木の枝のような、あるいはくさび形文字のようなギザギザした線で描かれているのがわかる。それらは、くさび形文字を意味するラテン語のcuneiform(キュニフォーム)から、キュニキュニという愛称で呼ばれている。彼の作品の多くは深い色彩を持ち、ギザギザした細部ともあいまって、心をざわつかせるような気配を持ちながらも、不思議と見る人を引き込む。くさび状の模様は、時に補色かそれに近い色の上に重ねられていて、独特の視覚的効果を生んでいる。
モチーフは、その時の彼の興味や近況、あるいは地元に関係するものなど、その都度、支援員と相談しながら決めているとのこと。描く時は、モチーフとなる写真などの資料を頻繁に見ながら、左手に何本もの色鉛筆を握り、密に書き込んでいく。画面の細部からキュニキュニが増殖するように描き進めるため、時には画面上に収まるのはモチーフのごく一部だけになることもある。作画に集中しすぎて疲れるため、作品が完成して次作にとりかかるまで絵を描かずに雑誌などを読んで過ごすことも多いという。
もともと、京都市ふしみ学園にて陶芸の下絵をかいていたが、2008年に施設内に新しくできた「アトリエやっほぅ!!」に参加し、本格的に絵を描き始めた。その迫力ある画面の一方で、本人はどこか飄々としている。バラエティー番組や競馬が大好きで、例えば「笑っていいとも!」のある放送回分を暗記していて通しで呟いたり、架空の競馬の実況をしたり(最後には必ずジョッキーが落馬するというオチがつく)、アトリエでのストレッチなどのプログラムではムードメーカー的存在でもある。
まれに、資料を見ずに想像だけで描くときもあるが、その時は、拙い線の可愛らしいイラストのような絵になり、キュニキュニも出てこないから不思議である。
Awards
受賞歴
- 2009
- 産経はばたけアート大賞 「旬の食材」
- 2010
- 産経はばたけアート大賞 「ブルートレイン」
- 2011
- 産経はばたけアート佳作 「写楽」
- 2012
- 産経はばたけアート優秀賞 「京都タワー」
- かんでんコラボアート入選 「水牛」
- 2015
- かんでんコラボ・アート審査員特別賞 「ベスパ」
- ポコラート入選 「オオカミ」
- 2016
- ポコラート入選 「東京の思い出」
- 産経はばたけアート佳作 「彦根城」
- 2017
- SONPOパラリンアートカップ2017 審査員特別賞 「サッカー選手」
- 2019
- 「舟屋」 京都知福協創立50周年記念誌絵画ポスターコンテスト 会長賞(グランプリ)
- 2020年
- 「ジャガー」 第3回日本財団DIVERSITY IN THE ARTS公募展 佳作
- (2021年9月時点)
Exhibitions
出展歴
- 2016
- 「木村全彦展CUNEI CUNEI」京都/art space co-jin
- 「木村全彦展CUNEI CUNEI」巡回展 京都/あうる京北
- 2018
- 「感覚の視点-木村全彦個展-」奈良/たんぽぽの家アートセンターHANAギャラリー
- 2021
- 「木村全彦展」 岩手/HERALBONY GALLERY
- 「木村全彦巡回展」 東京/ワコムコネクテッド・インク・ビレッジ
個展
- 2011
- 「SUPERPOSITIVE 世界への愛着」京都/みやこめっせB1F
- 2012
- 「アールブリュット展~人の果てしなき創造力に出会う!~」佐賀/佐賀県文化会館
- 2013
- 「ポコラート全国公募展Vol.4」東京/アーツ千代田3331
- 「エイブルアート近畿2013ひと・アート・まち京都『京・まちの彩』」京都/知恩院和順会館
- 2014
- 「第3回アウトサイダーアート2014豊橋」愛知/豊橋市美術博物館
- 「KYOTO L’art brut 6 EXHIBITION 」京都/oinai karasuma
- 「 天才アートミュージアム2014」京都/堀川御池ギャラリー
- 「コラボ・アート21」大阪/梅田スカイビル40F
- 2015
- 「第4回アウトサイダーアート2015豊橋」愛知/豊橋市美術博物館
- 「ポコラート全国公募展Vol.6」東京/アーツ千代田3331
- 「天才アートミュージアム2015」京都/堀川御池ギャラリー
- 「アールブリュット ユートピアの創造主たち」滋賀/大津プリンスホテル
- 2016
- 「NAKANO~街中まるごと美術館~アール・ブリュット一人の無限の創造力を探求する2017」東京/サンプラザ
- 「安倍総理と障害者の集い」東京/首相官邸
- 「福祉の現場で生まれるアート展」大阪/大阪デザイン振興プラザ(ODP)
- 「エイブルアート近畿2016ひと・アート・まち和歌山『電車天国』」和歌山/JR紀伊田辺駅に隣接するギャラリー
- 「第5回アウトサイダーアート2016豊橋」愛知/豊橋市美術博物館
- 2017
- 「京都文化力プロジェクト推進フォーラム」京都/ロームシアター京都サウスホール
- 「フランス障害者の文化芸術国際交流事業 ジャパン×ナントプロジェクトKOMOREBI展」フランス/フランス国立芸術センター「リュー・ユニック」
- 「山梨アール・ブリュット展つなぐ・きらめき」山梨/甲府市藤村記念館
- 「山梨アール・ブリュット展つなぐ・きらめき」巡回展 山梨/富士レークホテル
- 「アール・ブリュット展~創造の可能性に出会う~」東京/ビックサイト
- 「東京だよ!『アトリエやっほぅ!!』」東京/J’GALLERY&CAFÉ
- 2018
- 「アール・ブリュット展~個々に宿る創造のカタチ~」東京/国立新美術館
- 「 第2回山梨アール・ブリュット合同企画展~親密なるまなざし~」山梨/山梨県立美術館
- 「~いちばん身近な美術展~アール・ブリュットde街おこし展2018」東京/野方WIZ 2FギャラリーA・B
- 「アール・ブリュット 動く壁画」滋賀/ボーダーレス・アートミュージアム NO-MA
- 日本・スウェーデン外交関係樹立150周年記念展覧会「アール・ブリュット-日本とスウェーデン」展 スウェーデン/Edsvik Konsthall
- 「エイブルアート展 見たことのない景色」 岐阜/可児市文化創造センター
- 「共生のエレメント Dreaming Art Night」 東京/国立新美術館
- 2019年
- 「日本のアール・ブリュット「KOMOREBI」展in岩見沢」 北海道/岩見沢市イベントホール赤れんが、他
- 「ICOM 2019 KYOTO」(第25回 国際博物館会議 京都大会) 京都/国立京都国際会館
- 「披露、HERO展」(グローバル・ブレイン・アライアンス・フォーラム) 東京/六本木ミッドタウン
- 京都国際映画祭 「DARE展」 京都/元淳風小学校
- 「アール・ブリュット展inいけぶくろ~東アジア文化都市の風にのせて~」 東京/ギャラリー道草
- 「東京都看護協会 新会館におけるアール・ブリュット作品展示」 東京/東京都看護協会
- 2020
- 「アール・ブリュット2020特別展 満天の星に、創造の原石たちも輝く -カワル ガワル ヒロガル セカイ-」東京/なかのZERO・八丈町民ギャラリー・福生市プチギャラリー・すみだリバーサイドホール・吉祥寺美術館・渋谷公園通りギャラリー
グループ展
- 2006
- 第12回「京都とっておきの芸術祭」ハートピア京都(京都府立総合社会福祉会館)
- (2021年9月時点)