Profile
スケッチブックにオイルパステルで描かれた西生てる子の作品は、独自の方法によって生み出されている。まず最初のページにオイルパステルで少しだけ線を描き、次のページにも少しだけ線を描く。さらにページをめくり、同様に描いてはまたページをめくる。そうして、スケッチブックの最後のページに辿り着くと、折り返してひとつ前のページへとまた同じように描き重ねていく。その小さな行為の繰り返しによって線は幾重にも重なり、手で擦られ、ぼんやりとした色のかたまりがつくられていく。何度もめくられ続けたページの端は折れ曲り、次第に傷んで破れてしまうが、彼女は気に留めることはなく、その歩みを繰り返す。彼女の作品には完成としての終わりはなく、数ヶ月間いったりきたりと描き込んだスケッチブックを自ら手放すことはない。余白や耐久性に限界を感じた職員から新しいものが差し出された時、はじめて替わりのスケッチブックを開き、真白いページにかすかな線をまた描きはじめる。
Exhibitions
- 2006
- 「第11回 土と色ーひびきあう世界ー」京都市美術館
- 「第11回 土と色ーひびきあう世界ー世田谷展」 世田谷美術館 区民ギャラリー
- 2021
- 2021年度 共生の芸術祭 「旅にでること、その準備」 京都市美術館別館
- 2023
- 「南山城学園の粘土室」art space co-jin