Column

Production Process of the Archives – The Kyoto Archive of Art by People with Disabilities

Wed, May 20, 2020

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このコラムでは、本アーカイブのスタッフが実作業の流れを分かりやすく解説していきます。公開後のアーカイブだけでなく、その裏側を通じてこのプロジェクトにより興味を持っていただければ幸いです。

1 作家の検討と決定

京都府内在住の障害のある作家の中から、このアーカイブにて取り上げる方を検討します。「京都とっておきの芸術祭」(※)の入賞作家や、作品のオリジナリティーや量、表現活動歴の長さ、また、作家の居住地域や作品形態がなるべく多様になるようにといった観点から候補者を探し、外部の検討部会委員の意見等も聞きながら決定しています。

※「京都とっておきの芸術祭」 京都府が平成7年度より毎年開催している京都府内在住の障害のある人ならどなたでも応募できる公募展

2 調査、作品借用

アーカイブの対象となった作家にこの事業への協力を依頼し、作品制作にまつわる話をご本人や施設の方、ご家族にお聞きします。実際の制作場所を訪問し、素材やモチーフの調査をした上で作品をお借りしています。
作品写真だけでは分からなかった様々な発見があるのがこの時で、思いがけないオリジナルの技法を使っていることが分かったり、作品制作にはあまり関係ないが、とても興味深いエピソードを聞けたりします。やはり実際に会って話を聞くことや、現場を見にいくことの大切さを感じます。

3 作品撮影・測定、データ作成

借りてきた作品を撮影用のスタジオに運び、保管します。
まずはじめに、作品測定・素材の確認などを行います。記録はずっと残るものなので、サイズはミリの単位まできっちり測定しています。素材は現物の目視と作家訪問時の調査を元に判断し、分からないものは後日確認します。各作品のタイトルやサイズ、制作年、素材などをあらかじめ用意している様式の作品カードに書き込みます。記入した作品カードは作品と一緒に撮影します。

金や銀などの光沢のある色の場合、写真では光沢感が消え、黄土色や灰色と違いが分からなくなってしまうため、作品カードの備考欄に記入しておきます。作品の裏面も忘れずにチェックし、タイトルや制作年などの記載がないか確認します。

基本的に絵画などの平面作品は撮影台の上に水平に置いて上から固定したカメラで撮影します。裏と表の2カット撮影します。台に収まらないような大きな作品の場合、壁に掛けて撮ります。

立体作品は天地・前後左右・斜め2点の約8カットを撮影し、このうち2、3点を公開しています。
撮影はプロのフォトグラファーに監修をお願いしていて、これまでにないパターンの撮影時には、その都度アドバイスをもらいながら行っています。

カメラはパソコンに接続していて、撮影したデータはリアルタイムでパソコンに取り込んで大きな画面で確認しています。
写真は、RAWデータという非圧縮の形式で記録し、RAW現象ソフトにて色を合わせて書き出します。このアーカイブでは、アドビ社のLightroomを使用し、作品とともに写し込んだカラーチェッカーで色味を調整しています。

4 作品返却、補足調査

撮影が終わったら作品を形状に適した方法で梱包して、お返しします。
同時に、アーカイブ作業中にでてきた作品に関する不明点を確認し、加えて作家や作品についてもう少し具体的に聞きたい部分がある時は追加で聞き取りをします。

5 作品の公開

作品画像を使用しているデータベースにアップロードし、作品カードに書き込んでいた作品情報もデータベースに記入していきます。プロフィールや受賞歴などの作家情報も作成し、作品とひも付けて、ウェブ上で公開します。
撮影やデータの入力は地道な作業ですが、整理された作品が一挙に公開される瞬間はとても気持ちが良いものです。

6 ドキュメント

このアーカイブでは、作品をきちんとしたクオリティーで見せるということを特に大切にしています。ただ、それだけではこぼれ落ちてしまうものもたくさんあります。時には、そのこぼれ落ちたものにこそ、重要なものが含まれていると感じることもあります。

そのため、作品や作家についてより多角的に記録が残せるように、「ドキュメント」というページを作っています。ここでは、近寄ったり、斜めから見ないと見えてこない作品の魅力や、作家が作っている作品ではないかもしれないけど気になるもの、あるいは本人や関係者へのインタビュー、専門家によるコラムといったものを記録し、公開しています。

7 アーカイブの運用、更新

上記のような流れでこのアーカイブを作っています。今後も新しい作家や、すでにアーカイブしている作家の新作を追加していく予定です。

このアーカイブはデジタルアーカイブなので、実作品を保管するわけではありませんが、その分、デジタルの利点として時間・場所に制約されることなく記録し、発信していくことができます。障害のある作家の方たちは「表現する」ということに関して障害があるわけではありませんが、発信することに関しては不利な現状があります。その手助けするとともに、福祉やアートに関心を持つ様々な人たちにとって、このアーカイブが情報収集の場として活用されることを期待しています。

展覧会や作品の二次使用の問い合わせも徐々にですが、増えてきています。ご関心のある方は、「プロジェクトについて」ページのコンタクトフォームよりお気軽にご連絡ください。アーカイブに関するご意見、ご感想なども大歓迎です。